昨年の、しかも秋の話になってしまって恐縮です。
11月22日から23日にかけて、
村主催の一風変わったツアーが開催され、
そこでお話しする機会をいただきました。
「関係人口ツアー」というものです。
1日目の22日は「関係人口セミナー」でした。
「関係人口」という概念を提唱している一人、
田中輝美先生の講演と、湯本での取り組みの発表、
その後、首都圏からの参加者のみなさんと
ワークショップ形式の勉強会でした。
「関係人口」という言葉は少し前から知っていましたが、
どういうものかということまでは知りませんでした。
まずは田中先生の講演で勉強しました。
まさにわたしです。
団地ではなかったですが、ベッドタウン育ち。
父は大阪、母は東京。
田舎とのつながりはほとんどありませんでした。
これも納得です。
地域では否が応でも「個人」が埋没せずに表出します。
自分のしたことの反響がすぐについてくる。
よくも悪くもですが。
この2枚のスライドを見てふと思ったのですが、
現在のSNSブームで指摘される「承認欲求」の盛り上がりが、
実はこの辺りに根源があるのではないかと。
わが子が地域で育つようすを見ていると、
実の親はどうしても叱ったりすることが多くなりますが、
近所の大人やお年寄りからは、
注意を受けることもありますが、
褒められることが圧倒的に多いんですよね。
おそらく数十年前の社会では、
子どもはこうやってご近所や、同居の祖父母から
たくさん褒められながら育ったのだと思うのです。
そうすることで、叱られることと褒められることの
バランスが取れていたのではないでしょうか。
いっぽう現代は核家族の時代です。
満たされない承認欲求の発露が、
SNSブームを支えているのではないでしょうか。
そして、地域にはまだ生きた人間関係が残っています。
SNSにハマる若者ほど、地域で何か活動することを通じて
感化されることが多いのではないでしょうか。
ある意味「自分に欠けた部分を満たす」という
自己満足や自己実現的な、利己的な行動のようなものなので、
地域からは「なんでそんなものに付き合わなきゃならないんだ」
という意見もありそうです。
しかし、若者の自己実現のエネルギーを
地域課題解決に「利用」できると考えたら、
メリットに換えることができるかもしれない。
無意識的とはいえ「承認欲求を満たしたい」という
利己的な動機だったとしても、
「地域の役に立ちたい」という思いを
無駄にするのはもったいないですよね。
そして若者の中で地域への関心が高まっていても、
なかなかどう関わっていけばよいのかわからない。
少し前までは観光客として「交流」するか、
「移住」するかの二者択一だったので、
もっと地域と積極的に「関係」できる概念を作ろう、
というのが「関係人口」なのだそうです。
地域としても、交流人口を増やすためのツアーを開催すると、
どうしても「おもてなし」に尽くしてしまいがちです。
それが一過性だとすると、地域の持続性にはあまり貢献しないうえに、
そのうちにおもてなし疲れしてしまいます。
それが極端な話、関係人口の人たちに
交流人口や移住定住を促進するためにどうしたらいいか
一緒に考え、行動してもらうことだって、
やりようによっては可能なわけです。
このツアーを終えた後、
地域の同世代の人たちとやっている「湯本塾」でも、
この関係人口を取り込んでいこうという方針が出てきて、
みなの士気が高まっています。
そして湯本塾で議論していく中で、
関係人口の概念と企業のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会貢献)
との相性がよいということがわかってきました。
地域で何か活動するときには、
どうしてもマンパワーと財源が問題になってきますが、
それを乗り越えることが、関係人口とCSRで
可能になるのではないかと感じています。
わたしも10年前はよそ者だったんですが…
これからは新たなよそ者の力を募って、
持続可能な地域づくりに貢献していきたいと思っています。
ところでこの後のワークショップを通じて
個人的にはとても大きいと感じた「気づき」があったのですが、
長くなったので次回の記事にしたいと思います。
つづく
11月22日から23日にかけて、
村主催の一風変わったツアーが開催され、
そこでお話しする機会をいただきました。
「関係人口ツアー」というものです。
1日目の22日は「関係人口セミナー」でした。
「関係人口」という概念を提唱している一人、
田中輝美先生の講演と、湯本での取り組みの発表、
その後、首都圏からの参加者のみなさんと
ワークショップ形式の勉強会でした。
「関係人口」という言葉は少し前から知っていましたが、
どういうものかということまでは知りませんでした。
まずは田中先生の講演で勉強しました。
まさにわたしです。
団地ではなかったですが、ベッドタウン育ち。
父は大阪、母は東京。
田舎とのつながりはほとんどありませんでした。
これも納得です。
地域では否が応でも「個人」が埋没せずに表出します。
自分のしたことの反響がすぐについてくる。
よくも悪くもですが。
この2枚のスライドを見てふと思ったのですが、
現在のSNSブームで指摘される「承認欲求」の盛り上がりが、
実はこの辺りに根源があるのではないかと。
わが子が地域で育つようすを見ていると、
実の親はどうしても叱ったりすることが多くなりますが、
近所の大人やお年寄りからは、
注意を受けることもありますが、
褒められることが圧倒的に多いんですよね。
おそらく数十年前の社会では、
子どもはこうやってご近所や、同居の祖父母から
たくさん褒められながら育ったのだと思うのです。
そうすることで、叱られることと褒められることの
バランスが取れていたのではないでしょうか。
いっぽう現代は核家族の時代です。
満たされない承認欲求の発露が、
SNSブームを支えているのではないでしょうか。
そして、地域にはまだ生きた人間関係が残っています。
SNSにハマる若者ほど、地域で何か活動することを通じて
感化されることが多いのではないでしょうか。
ある意味「自分に欠けた部分を満たす」という
自己満足や自己実現的な、利己的な行動のようなものなので、
地域からは「なんでそんなものに付き合わなきゃならないんだ」
という意見もありそうです。
しかし、若者の自己実現のエネルギーを
地域課題解決に「利用」できると考えたら、
メリットに換えることができるかもしれない。
無意識的とはいえ「承認欲求を満たしたい」という
利己的な動機だったとしても、
「地域の役に立ちたい」という思いを
無駄にするのはもったいないですよね。
そして若者の中で地域への関心が高まっていても、
なかなかどう関わっていけばよいのかわからない。
少し前までは観光客として「交流」するか、
「移住」するかの二者択一だったので、
もっと地域と積極的に「関係」できる概念を作ろう、
というのが「関係人口」なのだそうです。
地域としても、交流人口を増やすためのツアーを開催すると、
どうしても「おもてなし」に尽くしてしまいがちです。
それが一過性だとすると、地域の持続性にはあまり貢献しないうえに、
そのうちにおもてなし疲れしてしまいます。
それが極端な話、関係人口の人たちに
交流人口や移住定住を促進するためにどうしたらいいか
一緒に考え、行動してもらうことだって、
やりようによっては可能なわけです。
このツアーを終えた後、
地域の同世代の人たちとやっている「湯本塾」でも、
この関係人口を取り込んでいこうという方針が出てきて、
みなの士気が高まっています。
そして湯本塾で議論していく中で、
関係人口の概念と企業のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会貢献)
との相性がよいということがわかってきました。
地域で何か活動するときには、
どうしてもマンパワーと財源が問題になってきますが、
それを乗り越えることが、関係人口とCSRで
可能になるのではないかと感じています。
わたしも10年前はよそ者だったんですが…
これからは新たなよそ者の力を募って、
持続可能な地域づくりに貢献していきたいと思っています。
ところでこの後のワークショップを通じて
個人的にはとても大きいと感じた「気づき」があったのですが、
長くなったので次回の記事にしたいと思います。
つづく