天栄・湯本 でどやま物語

これは都会しか知らない若者(だった)著者が、研究で訪れた山村での暮らしに感化されて、地域活性化に取り組み右往左往する物語です・・・

Author:星 昇(ほししょう) 旧姓富田。

博物館学芸員、フリーカメラマンを経て
2009年に大学の研究員として福島県天栄村湯本に移住。
震災直後の2011年5月には地元の女性と結婚し、
「星昇」というベタなアイドルのような名前になる。
現在切り花用リンドウ農家をするかたわら、
地元密着型の写真館や地域活性化のNPOの運営に携わっています。

専門は植物分類学。里山の歴史と資源利用。ネコノメソウ命。

それでは、はじまりはじまり・・・

視察・出張・その他仕事

宮城県川崎町「百(MoMo)」の取り組み

この冬は警備が一人体制のうえに郵便配達を始めて、
休日という日がほとんどなく、
精神的なゆとりがなくなっていました。

そんななか、東北大の恩師に相談をするために連絡を取ったら、
「いま川崎町で若者が新しいプロジェクトをやっているから、
そこで刺激をもらってくるといい」と言われました。

恩師のところでいろいろお話をした後に、
川崎町へ。

YPS_5452

川崎町では以前から「川崎町の資源を生かす会」が活動しており、
わたしも交流がありました。

そこへ地域おこし協力隊と東北大学の研究者が来て、
「食料とエネルギーの自給が可能なコミュニティの形成」を目指す、
「百」という組織を立ち上げました。

この日川崎へ着いたのがちょうど夕飯時で、
いきなり夕食に混ぜてもらったのですが、
彼らの勢いと熱意に圧倒されました。

みな海外での滞在経験も豊富で国際感覚もあり、
話すことはとてもロジカルです。

そんな彼らが東北の山村で、自給コミュニティ形成に着手する。
わたしはなんだか新しい時代が始まる現場に、
たまたま居合わせた凡人、といった感覚になりました。

YPS_5437

そこでわたしが研究していた里山の歴史について少し話したのですが、
これにかなり関心を寄せてもらい、
また植物の知識なども彼らが必要だということで、
今後もちょくちょくお邪魔して、
プロジェクトに関わっていく約束をしました。

YPS_5439

川崎町は、湯本に似ている部分が多いんですね。
温泉があるし、雪が多いし(今年は雪不足でしたが)、
別荘地もあるし、都市からの距離も似たようなものです。

YPS_5441

とにかく彼らの勢いと熱意がすごいです。
すでに町内の山林を買取り、
そこの木を使って
ゲストハウスを建設する準備を始めています。

「失敗するはずがない」と断言していました。

気持ちがふさぎがちな昨今でしたが、
ここで受けた刺激はかなりのもので、
心が揺さぶられましたね。

YPS_5451

元気をもらいに、
これからもお邪魔したいと思います。

つづく

湯本塾と大学生のコラボ

わたしも参加している「湯本塾」が、
新たな展開を模索しています。

2月には福島大学や、首都圏の学生の集まりNPO法人きたまると
共同でイベントを開催しました。

旧羽鳥小のライトアップのようす。

YPS_5347

一日目はわたしは郵便配達をやっていてあまり参加できませんでしたが、
二日目はスノーシュー散策の案内。

YPS_5350

後半は「肥やし袋」を使ったそり滑り体験。

YPS_5368

息子も「やりたい!」と言い出し…
不安だ。

YPS_5357

わー、滑った。

YPS_5398


事故?

YPS_5410

無事でした。

お気に入りの大学生のお姉さんと手を繋ぎ。

YPS_5430

今後は学生さんに主体的にかかわってもらい、
地域を人材育成や学びの場、それこそ「塾」のようにして
盛り上げていけないかと、みなで議論しています。

つづく

地域は本当に困っているんですか?

※今回は写真は記事の内容と無関係です

前回の記事で紹介した「関係人口セミナー」の、
後半は首都圏からの参加者のみなさんと
天栄村、特に湯本地区の人たちと共同のワークショップでした。

そこでわたしが、参加者のある方から言われた
衝撃的な言葉をご紹介したいと思います。
その言葉によって、わたしの考えが一気に開かれたと同時に、
現在も続く自問自答が始まりました。

DSCN0720

ワークショップでは、参加者がいくつかのグループに分かれ、
①村のいいところ ②村の困っているところ ③自分が村に関わりたいこと
といった3点について、意見を出していきました。

まず「村のいいところ」ですが、
湯本の場合は温泉があったり自然があったり、
住民同士の助け合い、治安のよさ、食料自給など、
たくさん挙がりました。

そして問題だったのは「村の困っているところ」です。
わたしの横に座っていた東京からの参加者の男性が、
「村の人って、何か困っていることあるんですか?」
と言ったのです。

聞いた瞬間、わたしも「この人は何を言ってるんだろう」と
思ったのですが、その方は続けます。
「食べ物は自分で作っている、環境はいい、治安もいい。
それで困っているって、よくわからないんですけど」

それを聞いて、わたしはカミナリに打たれたような衝撃を受けました。

DSCN0726

確かにそうなんですよ。
生きるうえで必要なものはそろっています。
食料、燃料、水はある。
治安はいい。
子育てしやすい。
仕事だって通える範囲でたくさんある。

もちろんわたしも移住してきたとき、
そうした良さに気づいて定住を決めたわけですが、
なんとなく「地域は困っている」と思っていました。

でも実際に暮らしていて困ることってあまりない。
ないどころか、都会に比べたら
泥棒や不審者の心配はないし、
大災害や戦争が起きたって絶対に飢え死にしないし、
子育て・教育環境だって断然優れているし…
はっきり言って、地域は都会に比べてかなり「恵まれてる」のですよ。

DSCN0489

でも、世間的にも「地域は困っている」っていう
イメージですよね。
わたしも「地域を何とかしなきゃ」と思って
ずっといろいろ活動をしてきたわけで…
ただ、冷静に考えると、「何」に困っているか、
ということを深く考えてこなかったのかもしれない。

その男性の発言を聞いて、それに気づいたのです。

もちろん、個人個人はさまざまな悩みを抱えて暮らしています。
ただそれは地域も都会も同じです。

地域特有の問題、と考えると、
車を持っていない人は買い物が不便だったりとか、
一人暮らしのお年寄りは雪かきが大変だったりとか、
そういうことはあります。

でもそれもご近所や親せきの人たちが手助けしたりして、
いまのところなんとかなっています。
今後も、例えばネットを利用できる人が
買い物を手助けするなど、新しい解決策も考えられます。

DSC_0145

ではこの「なんとなく困っている」感覚の正体は何なのか。

よくよく考えていくと、おそらく、
「いまのこの困っていない暮らし、恵まれた暮らしが
人口減少によって失われるかもしれないという不安」
ということに集約できるのではないかと思うようになりました。

農業や治安維持に重要な住民同士の助け合いも、
隣近所がいなくなってはできません。
住民がいなくなれば、公共施設や行政サービスも削減されます。

つまり、「人口減少」こそがこの漠然とした不安感の源であり、
もっとも対策を講じないといけないことなのだと思うのです。

YPS_3040

こう思ったとき、かなり自分の考えが整理できました。

都市に比べて出生率の高い、地域での人口減少は、
国全体の少子化のように自然減で起きるのではなく、
都市への人口流出によって起きています。

この人口流出の原因は、
地域が「恵まれている」にも関わらず起きていることから、
合理的に説明するのが難しく、
地域自体に問題があることよりも、
単に住民の「都会への憧れ」が
原因の大部分を占めていると思われます。

YPS_2273

自分の考え方が他人の意見によって180度変わることなど
滅多にないことを考えれば明らかなように、
他人の趣向、志向を変えることは困難です。

都会志向の地域住民が地域の魅力を再認識して
また村に戻ってくることは、
よほどのことがない限り難しいでしょう。
(身近な知人で震災をきっかけに湯本の良さに目覚めた、
という人はいますけど、やはりとても希な例です)

それよりも大事なことは、
いま地域に暮らしている人たちに感謝し、大事にすることと、
湯本の「恵まれた暮らし」を理解した上で、
住みたいと言ってくれる仲間を作ること。
この2点なのだなと。

YPS_3412

この中でわたしができることというのは、
湯本での「恵まれた日常」をこれまで以上に発信すること。

「仕事、なりわいを創出しないと」とか、
これまで少し自分の能力以上のことを、
できもしないのにやろうとしていたと思います。

少し原点に立ち返って、湯本のふつうの暮らしが
いかに恵まれているかを、自分を媒体として、
地域に暮らしている人たちや、
田舎暮らしに関心を持つ人たちに伝えること。
このあたりに集中していこうかと思いました。

とは言いつつ、
ほかにもこまごまとしたアイデアはあるんですけどね。
やれる範囲で、コツコツと進めたいと思います。

つづく

「関係人口」セミナー

昨年の、しかも秋の話になってしまって恐縮です。
11月22日から23日にかけて、
村主催の一風変わったツアーが開催され、
そこでお話しする機会をいただきました。

「関係人口ツアー」というものです。

scanned126

1日目の22日は「関係人口セミナー」でした。
「関係人口」という概念を提唱している一人、
田中輝美先生の講演と、湯本での取り組みの発表、
その後、首都圏からの参加者のみなさんと
ワークショップ形式の勉強会でした。

「関係人口」という言葉は少し前から知っていましたが、
どういうものかということまでは知りませんでした。

まずは田中先生の講演で勉強しました。

DSCN0662

まさにわたしです。
団地ではなかったですが、ベッドタウン育ち。
父は大阪、母は東京。
田舎とのつながりはほとんどありませんでした。

DSCN0661

これも納得です。
地域では否が応でも「個人」が埋没せずに表出します。
自分のしたことの反響がすぐについてくる。
よくも悪くもですが。

この2枚のスライドを見てふと思ったのですが、
現在のSNSブームで指摘される「承認欲求」の盛り上がりが、
実はこの辺りに根源があるのではないかと。

わが子が地域で育つようすを見ていると、
実の親はどうしても叱ったりすることが多くなりますが、
近所の大人やお年寄りからは、
注意を受けることもありますが、
褒められることが圧倒的に多いんですよね。

おそらく数十年前の社会では、
子どもはこうやってご近所や、同居の祖父母から
たくさん褒められながら育ったのだと思うのです。
そうすることで、叱られることと褒められることの
バランスが取れていたのではないでしょうか。

いっぽう現代は核家族の時代です。
満たされない承認欲求の発露が、
SNSブームを支えているのではないでしょうか。

そして、地域にはまだ生きた人間関係が残っています。
SNSにハマる若者ほど、地域で何か活動することを通じて
感化されることが多いのではないでしょうか。

ある意味「自分に欠けた部分を満たす」という
自己満足や自己実現的な、利己的な行動のようなものなので、
地域からは「なんでそんなものに付き合わなきゃならないんだ」
という意見もありそうです。

しかし、若者の自己実現のエネルギーを
地域課題解決に「利用」できると考えたら、
メリットに換えることができるかもしれない。

DSCN0660

無意識的とはいえ「承認欲求を満たしたい」という
利己的な動機だったとしても、
「地域の役に立ちたい」という思いを
無駄にするのはもったいないですよね。

そして若者の中で地域への関心が高まっていても、
なかなかどう関わっていけばよいのかわからない。

DSCN0664

少し前までは観光客として「交流」するか、
「移住」するかの二者択一だったので、
もっと地域と積極的に「関係」できる概念を作ろう、
というのが「関係人口」なのだそうです。

DSCN0665

地域としても、交流人口を増やすためのツアーを開催すると、
どうしても「おもてなし」に尽くしてしまいがちです。
それが一過性だとすると、地域の持続性にはあまり貢献しないうえに、
そのうちにおもてなし疲れしてしまいます。

それが極端な話、関係人口の人たちに
交流人口や移住定住を促進するためにどうしたらいいか
一緒に考え、行動してもらうことだって、
やりようによっては可能なわけです。

DSCN0667

このツアーを終えた後、
地域の同世代の人たちとやっている「湯本塾」でも、
この関係人口を取り込んでいこうという方針が出てきて、
みなの士気が高まっています。

そして湯本塾で議論していく中で、
関係人口の概念と企業のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会貢献)
との相性がよいということがわかってきました。

地域で何か活動するときには、
どうしてもマンパワーと財源が問題になってきますが、
それを乗り越えることが、関係人口とCSRで
可能になるのではないかと感じています。

DSCN0668

わたしも10年前はよそ者だったんですが…
これからは新たなよそ者の力を募って、
持続可能な地域づくりに貢献していきたいと思っています。

ところでこの後のワークショップを通じて
個人的にはとても大きいと感じた「気づき」があったのですが、
長くなったので次回の記事にしたいと思います。

つづく


湯本小学校・湯本幼稚園で自然観察の講師

湯本小学校からのご依頼で、学校周辺の自然観察会をしました。
ただ観察するだけではなく、落ち葉で図鑑も作ってしまおうという計画。

DSCN0590

ミズメやサンショウ、クロモジといった香りのある木や、
まだ実がついていたハナイカダなどが好評でした。

幼稚園児が作った図鑑はこちら。

DSCN0594

子どもたちと楽しい時間を過ごせました。

つづく
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

ギャラリー
  • 家族でいろいろ文化体験
  • 家族でいろいろ文化体験
  • 家族でいろいろ文化体験
  • 家族でいろいろ文化体験
  • 家族でいろいろ文化体験
  • 家族でいろいろ文化体験
でど物 on Twitter
月別アーカイブ
でどやま内検索
  • ライブドアブログ