前回の記事で予告した,わたしが先日行なった講演の内容を
少しだけご紹介したいと思います。

これらの内容は主に博物館学芸員時代に行なった
古写真,古文書,その他文献調査等をまとめたものです。

もし内容に(?)と思ったとしても,
参考図書を最後のほうにご紹介しますので
そちらをご参照していただければと思います。


「里山」というのは人の手が加わった自然のことですね。

わたしがそうであったように,なんとなく
「みどり豊かな田園」というイメージがあるのですが,
いろいろ調べてみると,場所によってははげ山になっていたり,
草原が広がっていたり,アカマツが多かったりと,
現在見られる姿と大きく違っていたことがわかりました。

たとえば下の写真は多摩丘陵のかつての写真です。
丘陵部にはアカマツが見えますが,現在はこれらがなくなり,
広葉樹林となっています。
昔の山はスカスカした姿だったことがわかります。

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次は富士山北麓の絵図です。
秣場,つまり茅場が広がっており,
焼畑が行なわれていたこともわかります。

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富士山の近くでいうと,伊豆半島や箱根も
芝地などの低植生地が多かったのですが,
それらも村絵図や古写真で示しました。

わたしの住んでいる福島県天栄村湯本も,
峠の景観が数十年で大きく変わっていることがわかります。

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ところかわって西日本はもっと極端です。
滋賀県内ははげ山が問題となっていました。
比叡山もとても景色がよさそうです。

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こういったスライドを多数紹介しました。

これらを踏まえた上で,里山がどのような性質を持ち,
なぜ変化したか,またその問題点は何かを述べました。

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生物多様性の問題だけでなく,
草原などの緩衝地帯が失われた結果,
森林性の動物による農業や人的被害の増加についても指摘しました。

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そもそもいまよりたくさん燃料として木を切っていた時代に
CO2排出の問題など存在せず,しかも里山にはいまより
多様な生物がいたわけですから,
現在では木を切らないことのほうが問題が大きいわけです。

昔の炭焼きの施業のように,
小面積を移動しながら伐採していくやり方が,
森林再生の方法としてもすぐれているということが
最近の研究でわかっています。

そして,一部twitterで物議をかもした下のスライド。
わたしの個人的な「里山イメージ」は,このアニメによって
形作られたという確信があります。

それが制作者の意図的なものでなかったとしても,
幼少期に見たアニメというのは印象が強いものです。

事実,このアニメをきっかけとして里山保全活動が
活発化しましたし,保全基金などが次々と立ち上がったのは
いうまでもないかと思います。

なんだかtwitterでは,この指摘がアニメを批判していると
お怒りの方もいたみたいですが,
作品の良し悪しについてはひとことも言及していませんので,念のため。

具体的に実際の当時の里山との違いを指摘するのであれば,
林縁部の刈り払いがまったく行なわれていない点や,
広葉樹が大きく成長している点,
アカマツがまったく描かれていない点などが,
昭和60年代的であるということができます。

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この数十年で里山が密な樹林と化し,
生物多様性が低下している現状を変えていくには
どういうことが可能かというお話もしました。

わが家でも使っている薪ストーブは,
震災のときにも大活躍してくれました。

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焼畑は日本各地で行なわれていたのですが,
これもカーボンニュートラル。
しかも肥料も農薬も不要の,省力農法なのです。

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自然破壊のレッテルを貼られたレジャー施設も,
いまとなっては貴重な草地で,絶滅危惧種が自生していたりします。

除草剤を減らすなどの工夫で,
自然共生型観光施設として訴求することも可能だと思います。

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そして,里山を活用するのは里山にすむ人々です。
巨大なインフラに依存した暮らしを少し見直して,
昔の暮らしから学び,現代に生かすことで
里山での暮らしは豊かになり,
里山の自然もより豊かになっていくと考えます。

これがEIMY (Energy In My Yard) の考え方です。

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これらの内容に疑問や関心をお持ちの方には,
以下の図書をおすすめいたします。

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とまあ,だいぶ簡略化しましたが,大雑把にはこんな内容でした。

講演のご依頼等はいつでも受け付けてますので,
ご連絡ください。
全国どこへでも駆けつけます。

以上,営業活動でした。

つづく